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未知夢

第3章 酒席

 森屋はずぅーーっと息を吸った。


「野太い声で『目の前にある物のうち、どれか1つを掴むがよい』て」


「なんだそれ?」


「俺はお金を掴みたかったんだ。でも、どれもなかなか上手く掴めないんだ」


「てか、それなんの話だ? 俺はなにを聞かされてるんだ?」


「だから嫁と付き合う前に見た夢の話だ」


「てめえの付き合う話はどうでもいい!! なんで、そんな夢の話を今するんだよ!?」


「だから、黙って聞いてくれよ」


 森屋は追加のビールを頼むと、グイッと半分ほど飲んだ。


「いや、この話はお前にしかしてないんだから、とにかく聞いてくれ」と、言って森屋は顔を近付ける。


「わ……わかった、近いから、メンソール臭いから」


 繁は顔をそむけた。


 森屋は続けた。


「で、その3つのうち、俺はお金を掴みたかった。けど、こっちはなかなか前に進めないからなかなか掴めない」




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