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未知夢

第3章 酒席

 繁は黙ってそれを聞いていた。森屋はさらに続ける。


「そして、グッと手を伸ばしたら、かろうじて女の手を掴んだんだ」


「ほう、で?」


「まあ、女でもいいかと……若かったし、いろんないやらしいことも、考えるじゃない」


「まあな」


「そしたらパッと目が覚めたんだ」


「ふむ……それで?」


「だから、目が覚めたって……」


 繁は軟骨唐揚げを平らげた。


「終わり?」


「まあ……夢の話はな」


 繁はボリボリと頭をかきむしる。


 森屋は運ばれてきた焼きナスに箸をのばした。一口頬張ると、箸を置きビールを一口飲んで流し込んだ。


「実はまだ続きがある」


「早く言えよ。勿体ぶらずによぉ」


 繁はかなり話に食い付いていた。


 森屋は真剣な目で顔を近付ける。


「ここからなんだが……目が覚めたら、隣になぜか、由佳里が寝てたんだ」


「はぁっ!? なんて?」


 繁は聞き返した。



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