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未知夢

第14章 滝繁

「すいませんね……俺とまったく同じで」


 やや、イラっとした口調で言った……いや、言ってやった。


 だが、綾子は笑みを浮かべてボストンバックを押し渡す。


「私……10年前から、いつか会えることを期待してました。私と父を救ってくれた恩人なんですもん。兄が紹介してくれたのが繁さんでよかった」


 繁はボストンバックを受け取ったまま、照れくさそうにしかめる。


「ちょっと……やめてくださいよ……何を言っていいのかわかんねぇよ」


 綾子はクスッと笑って言った。


「そのカバンの中、300万入ってます。お借りした分からではまだまだ足りませんが、先にそれだけお返ししておきます。残りは必ず返しますから……」


 繁はバッグの上からお金を確認した。


「でも、これはもういいです。あのお金はちょっとしたことで出来たお金でまともなもんじゃなかったからね。でも、これは綾子さんが貯めたお金だろ? 綺麗なお金は受け取れないよ。汚れた人間の僕には綺麗なお金は似合わないっす」



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