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未知夢

第14章 滝繁

 繁はそっとボストンバックを綾子に渡した。


 綾子は戸惑いながら、バッグを抱えた。


「汚れた人間て……繁さんは汚れてなんていないですよ。このお金も……結構恥ずかしいことをして稼いだこともありましたし……」


「恥ずかしいこと……ですか?」


 繁はなんとなく察しはついた。だが、そのお金はどんな形であれ、綾子自身が稼いだお金。


 受け取る気にはならなかった。


「僕は本当に汚れた人間なんです。さっきも言った通り、僕は別の現代から来てます。そこでは、あなたの兄、森屋隆弘は死んでます」


「えっ!」


 綾子は驚き、口に手を当てる。


「兄さんはどうして死んだのです?」


 その質問が返ってくることは予想していた。だが、その返答をするかしないか……。


 その時だった……


「グァーーーッ!!」


 家から森屋の悲鳴が聞こえた。




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