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未知夢

第15章 隠人

 繁は小さく喜びを表した。


 まさか、短期間にこんなチャンスが3度訪れるなんて、ギネスを超えた奇跡だ。


「よし、また3つ取ってやる!!」


 そう言って、夢塊が飛んでくるのを待った。


 だが、いつまでたっても、3つの塊が見えてこない。


 それどころか、心の声が少し聞こえただけで、何も聞こえてこない。


「なんだよ……なんだよこれ……」


 繁は暗闇の中、ただ立ち尽くすだけだった。


 何も見えない、何も聞こえない。上下左右前後先もわからない。


「おーい!! 心の声!! なにしてんだよ!!」


 不安が一気に押し寄せる。


〔ここ未知夢ちゃうで〕


 心の声だ。


「いるんじゃねえか……お前、心の前に未知夢の管理人だろ?」


〔管理人とは言わないが……未知夢だけじゃなく夢の中にも幻覚にも現れる。まあ、お前の中の住人かな?〕



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