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未知夢

第15章 隠人

 それに、どうしてヤバいのかがわからない。


 繁は再び様子を窺う。


 すると、綾子の後ろから、この世界の繁がついてきた。


「えっ? えっ? なんで綾ちゃんが? えっ? なんで!?」


 この世界の繁は昨夜の出来事を、まったく覚えていない様子だ。それに、突然現れた憧れのアイドルに、動転している様子だった。


 綾子は繁に説明した。


「とりあえず、私の言う事を聞いてほしいの」


「な……なに?」


 かなり緊張している。そりゃそうだ。あの、アイドルの女性が急に訪ねて来て、自分の真正面で話をしている。あるわけないことが、起こっているのだ。


 やはり、ここの繁は数時間前のことをすっかり忘れている。と、言うか、覚えていない。


「話はあと、私と一緒に逃げましょ」


「な……なんですってぇぇぇぇーーーー!!!!」


 そりゃ、繁にしてみればそうだろう。


 突然の夢物語が現実になったのだから。


 隠れている繁も心の中で、同じことを叫んでいた。


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