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未知夢

第15章 隠人

「でも、逃げるって……なぜ?」


「兄の奥さんが警察に通報したのよ。傷害と殺人未遂で……」


「えっ!? 兄って……どうかしたのか?」


「聞いて……私の兄は森屋隆弘なの」


「えええーーー!!!!(以下同文)」


 綾子は昨夜起こったことを簡単に説明した。


 だが、繁はほとんど訳がわかっていなかった。


「でも、兄は昨夜はあなたと飲んだってことしか覚えてないの。救急車で運ばれて治療している時、かなり泥酔してて……」


 隠れている繁は思った。


『マジか!? あいつ、あれで泥酔してたのか!? むっちゃシッカリ俺に啖呵きってたじゃねぇか!! あれで酔ってるってんなら……ほんまに殺しとけばよかった……』


 綾子はハンドバッグからカードを取り出した。


「お金は心配入りません。私の不注意であなたの指紋の付いたナイフを、そのままにしちゃってたから……あなたが捕まってしまいます……だから……」


「でも……綾さんも怪しまれるよ。犯人匿うことになったら……」



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