テキストサイズ

未知夢

第15章 隠人

「私はしばらく海外に行くと言って出てますから……」


「いや、ダメだよ! じゃあ、森屋は俺が刺したってのは知らないの? てか、俺、ほんまに刺したのか?」


 繁は半信半疑だった。


 隠れている繁は、その様子を固唾を飲みながら見守っていた。


 だが……。


 突然、軽自動車が発車してしまった。


「あっ……」


 元の繁は気まずい。


「あれっ……」と、綾子と目が合った。


 見付かってしまった。


「あ……昨日の……」


 綾子は気が付いた。


「嘘!! 俺とソックリ!!」と、この世界の繁は驚いた。


 ソックリじゃなく同一人物だ。と、繁は言いたかったが、「ハァ〜」と、ため息をついて二人に近付いた。


「綾子さん、繁2号、心配するな」


「なんだよ繁2号て……俺が1号だよ」


「どっちでもいい! とにかく聞け!!」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ