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未知夢

第15章 隠人

 繁はいつもの公園にいた。そして、ベンチに座るとビールを飲みながら美人妻を眺め、弁当をパクつく。


 そして、自分が考えていたことに、結論を出した。


「俺はわかった。わかったよ……やっぱり、あの白鳥沢って男は俺なんだ。そうしか考えられない。俺は森屋の家から自分を抱えてタクシーで帰った。それから捕まったのを知って自首をしたんだ」


 繁はグイッとビールを飲む。


「だけど、なんであんな姿になったんだろう? ケンカでもしたのかな?」


 警察署でガラス越しに見たあの男。顔がボコボコだった。


 おそらく今までの行動からすると、あの男は自分だと言う確証はある。指紋も全部一致することが、確かな証拠。


 だが、まだハッキリとは断定できないのが本当な所。


 何が起こるかは、油断出来ない。


 あんな化け物が異次元から現れて……そんな空想物語でもあり得る。


 その方が展開的にも助かるが、現実はそうはいかないと繁は思った。




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