テキストサイズ

未知夢

第5章 訊問

 繁は目に見えない白旗を上げ、認めたくないが、玉砕を認めた。


 刑事はビニールに入れられた、証拠とされるメモ書きを出し、繁の前に置いた。


「メモにしっかりと滝繁と名前が書いてあった。これが証拠だ」


 繁はそれを見て項垂れた。


「俺の名前だ……て、ことはマジ? 森屋を殺したのは……俺?」


 これがすべて夢であり、夢オチで終わってほしい。


 繁は肘を立て、頭を押さえる。


(なにかの罠だ……。誰かが俺を犯人に仕立てあげている。他に犯人がいるはず……)


 そう思い込む。


 だが……。


「ん? あれ?」


 あることに気が付いた。


「そう言えば、由佳里はなにしてた?」


 森屋隆弘の妻のことだ。


「由佳里は? ひょっとしたら、手袋をはめてナイフで旦那を刺し、酔っぱらってる俺にナイフを握らせた。それ、あり得るだろ!!」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ