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未知夢

第2章 再会

 繁はその名刺に嫌々目を通す。


 なぜ、嫌なのか? 名刺を持っている者は、超立派な大人に見えるからだ。


 繁は名刺だけで、己の敗北を感じていた。


「え……ファミリー居酒屋、良い酔い社長……えっ!! お前が社長!?」


 繁は「社長」の文字だけで己の奈落を見た。


「お前……どんな汚い手を使って出世したんだ?」


「失礼だな……俺は在学中にこの居酒屋にバイトとして入ったんだ。卒業した後、就職難で行く所ないからそこで正社員にしてもらったんだ。で、そこの店長を任されて、勢いで支店出したら上手くいって、今に至る」


「お前、絶対スーツ暑いだろ」


「話聞いてないだろ」


 森屋は持っていたヴォトンのバックからチラシを出した。


「これ、うちのチラシ。よかったら飲みに来いよ」



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