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未知夢

第7章 誤認

 細く小さい目で繁の顔を見ると、歯の無い口を広げてニコッと笑った。


「今日も暑いなぁ〜」


「いや……まあ、暑いっすね」


「ジュース飲む?」


「いや、取り調べるんでしょ? なんか細かいことで引っ張りますね……」


 ここはどこのグループホームなんだ? 繁は一瞬、そう思った。


「……」


 時おり沈黙になり、黙ってニコニコしているだけだ。


(ここの警察はどんだけ自由なんだよ……この人、昼間に公園にいる、ただのおじいちゃんじゃねぇか)


 繁はそう思うとうつむいて項垂れた。


「母さんの事を思い出したか?」


「違う!!」


 こうなったら全部認めてやろうかな……俺が森屋を殺しましたと……。


 もう、どうでもいいや……繁はため息をついてすべてを諦めた。


「あのさ……刑事さん……俺さ」




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