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未知夢

第7章 誤認

「ここだ。入れ」


 刑事は奥の部屋の扉を開けた。


 繁は恐る恐る中に入る。


 中は狭くて薄暗く、奥の壁に小さなガラス窓が見える。


 刑事は、そのガラス窓の前に立った。


「実は昨日、自分が真犯人と申し出る者がいて自首してきたんだ」


 繁は意味がわからなかった。凶器とかに自分の指紋がついて、森屋が残したメモには自分の名前があった。犯人は自分なんだろ?


 半分開き直っていた繁は今さらどうでもよかった。


「あの男を知ってるか?」と、刑事はそのガラス窓を指差した。


 繁はそのガラスを覗くと、ガラスの向こうに取調室があった。


 そこにはブルーのアロハシャツを着た、丸刈り頭の、傷だらけで顔をボンボンに腫らした男がいた。


 繁はその男を見たことがない。


「知らない。見たこと無い」



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