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綾芽は一人ひとりの顔を見て、覚悟を決めた。

「何処まで皆さんの期待する『お嬢様』になれるか分かりませんが、私頑張ってみます」

「綾芽様…」

「だから…きっちりサポートお願いします！」

そう言って綾芽は、そこに並ぶ全ての人々に向かって頭を下げた。

それを見て葛城は満足そうに微笑み、人々は安堵した。

（これから覚えて貰わなければならない事は沢山あるが、高月に任せておけば大丈夫だろう）


葛城慎吾

35歳。



愛する事を知らない彼が、このお嬢様に振り回される日々が来るとは、この時の彼はまだ予想もしていなかった。