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お嬢様♡レッスン

第115章 別離の刻(わかれのとき)

もし、綾芽があのまま高月と結婚する事になっていたら、自分も同じような事を考えたのではないかと。

そう思ったら、彼等の気持ちを汲んでやりたいと思ってしまう。

「だからね、慎吾。早く綾芽と結婚して幸せになって、沢山子供を作ってね?」

そう言って笑うウィリアム。

どこまで本気なのかは分からないが、葛城も娘が出来たら考えると、半分承諾してしまったのだった。

それから、皆は葛城に綾芽との思い出をそれぞれ語って聞かせ、楽しいひと時を共有すると、22時頃に解散となった。

葛城と綾芽を見送る為、ウィリアムとヘンリーが玄関まで付き添う。

「綾芽、楽しかったよ。本当に有難う。今度は友人として日本に遊びに行くよ」

そう言うとウィリアムは綾芽を抱き締める。

綾芽はそれに応え、彼の背中に手を回し、しっかりとウィリアムを抱きしめる。

彼女はウィリアムに『いつでも遊びに来て』と答え、身体を離した。

ウィリアムは葛城にもハグをし、心からの感謝の言葉を贈る。

「君の勇気ある決断と深い友情に心から感謝するよ。結婚式には是非呼んで貰いたいね!」

「ええ。是非!皆さんが羨むくらいの美しい綾芽の花嫁姿をお目に掛けますよ?」

葛城はウィリアムのハグに応えながら、そう返した。

皆の表情は未来に向かって、晴れ晴れとしていた。

名残は惜しいが、また新たな関係の始まりだ。

そして彼等の友情は、ずっと続いていくのだった。

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