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お嬢様♡レッスン

第115章 別離の刻(わかれのとき)

「慎吾さんっ!!」

綾芽は葛城の姿を認めると、一目散に駆けだした。

嬉しそうな弾む声。

それを耳にするのは、今は未だ辛い事だけれど。

それでも、彼女が幸せであれば、それでいい。

葛城の胸に飛び込むと、彼に抱きあげられ、幸せそうに笑う彼女を見て、ウィリアムはそう思った。

綾芽が葛城の手を引いて、彼のところへ戻って来る。

ウィリアムは微笑みを浮かべ、葛城と挨拶の握手を交わし、ホテルまで送る事を伝えた。

葛城はその好意に甘え、ロンドン市内にあるホテル41へと向かう。

このホテルはバッキンガム宮殿にほど近い場所にあり、客室は30余りと比較的小規模なホテルでありながら、その人気は高い。

彼等はホテルに到着し、チェック・インを済ませると、ウィリアムが二人をディナーに誘った。

場所はロートマン家のロンドンの邸宅である。

「慎吾から来ると聞いてね、準備させておいたのさ」

そう言ってウィリアムは二人にウィンクして見せた。

そこにはエミリアと彼女の夫君も訪ねて来ており、ディナーは賑やかなものとなった。

美味しい料理に舌鼓を打った後、ワインを楽しみながら、ウィリアムは葛城に前日綾芽に話した葛城と綾芽の子供の話を切り出す。

突拍子もない彼の話に、エミリアとその夫、そして葛城は目を丸くした。

葛城は最初は断った。

それでは綾芽の身代わりではないかと。

しかし、彼の気持ちが理解出来ないでもない。

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