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お嬢様♡レッスン

第18章 Lesson 7♥知識を増やしましょう

「お嬢様、お疲れの様ですが大丈夫ですか?」

黒崎が、綾芽の顔を覗き込んだ。

今は黒崎が担当する政治・経済の講義中である。

「ちょっとドレス選びで疲れてしまって…。でも大丈夫ですよ?続けて下さい」

「そうですか?でも、御気分が悪くなったら、仰って下さいね!」

「はい、有難うございます」

実は高月と庭でエッチをして来たばかりだから等とは口が裂けても言えない。

「お嬢様には退屈な授業かも知れませんが、今後、後を継がれるお立場なので…」

「大丈夫ですよ?黒崎さんのお話はとても興味深いです」

正直な所、今まで綾芽は政治にも経済にも関心はなかった。

恐らく平均的な21歳くらいの若者だったら、皆、そうであろう。

就活の為に新聞を読み漁り、俄の知識を詰め込み、就職先が決まれば見向きもしない。

若い内は、政治やら経済やらよりも、他に関心事が沢山あるからだ。

流行りのファッションや音楽、恋愛、友達との付き合い、趣味等々。

「私達が生きる為に、または楽しむ為に買い物をしたりしますよね?これは経済活動の1つです。そして、投票権を与えられたら選挙に投票に行きますよね?これは政治活動の1つになります」

「投票がですか?」

「はい。選挙は私達の言わば代表になる訳です。自分が理想とする社会を実現してくれそうな人に投票する。政(まつりごと)を動かす人を選ぶ所から政治なんですよ」

「はぁ…」

「どうしました?」

「自分がいかに勉強してなかったかが分かりました」

「学校で学んでも興味の無いことは次第に薄れてしまいますからね。お嬢様の必要な事は、細かい事を知るよりも、動きを敏感に感じ取る事じゃないかと思います」

「敏感に感じ取る…ですか?」

「要するに“大きな地震が起こる前にそれを察知して備える”って事です」

「何か分かる様な分からない様な…」

「あれ?俺の喩え方変ですか?」

「いえ、多分私の頭が悪いだけだと…」

「そんな事ないですよ!葛城さんや高月さんが『お嬢様は飲み込みが早い』って言ってましたから!」

「ふふっ」

「どうかしましたか?」

「黒崎さんは敬語を使うのは苦手みたいですね?」

「あっ!バレてます?」

「何となくそうかなって思いました」

「駄目だな、俺って…」

「そんな事ないですよ?」

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