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お嬢様♡レッスン

第117章 慌ただしい日々

二人が”人前式”を選ぶのは、至極当然の事であろう。

葛城には、両親が居ない。

また、親戚と呼べる者も無きに等しい。

それは、葛城の両親が亡くなり、宗佑が引き取った際に縁を切らせたからだ。

まだ、12歳の少年を厄介者扱いし、盥回しにした事に宗佑は腹を立てたのだ。

彼の家族と呼べる者は、邸の使用人達と宗佑だけだろう。

だから二人は『彼等の前で式を』と思ったに違いない。

彼等きっとも喜ぶ筈だ。

「ドレスはどうする?ああ…でも白無垢姿の綾芽も見て見たいねぇ…。う~ん…迷うなぁ…」

どうやら宗佑の悩み事は綾芽の婚礼衣装に移ったらしい。

「白無垢はお写真だけにしたら如何でしょうか?」

葛城がそう提案すると、宗佑はそれもそうかと頷いた。

「それじゃあ、ドレスと白無垢を作らなくてはならないね!」

ウキウキが止まらない様子の宗佑。

娘の式を挙げる事が出来なかった分、孫娘のそれに掛ける期待は大きい。

「早速、デザイナーを呼んで素晴らしいデザインのドレスと白無垢を揃えないとね!!」

そう言って燥ぐ祖父を孫達は温かい目で見つめる。

「何だい?二人共。僕の事を子供を見るような目で見て…」

「いえっ!そんなつもりは…!!」

「そうですよ?お祖父様が喜んで下さっているのが、嬉しいだけです」

「ふ~ん?まあ、いいけどね」

「お祖父様?」

「何だい?」

「私達の結婚式でもありますが、これはお祖父様、お母様、お父様の結婚式でもあると思っています」

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