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お嬢様♡レッスン

第117章 慌ただしい日々

「ですから、お祖父様もどんどんご意見を下さいね?」

そう言うと綾芽は、立ち上がって宗佑の傍に歩み寄り、祖父の手を取った。

「お祖父様、私…慎吾さんとお父様、お母様の分まで幸せになります」

じっと宗佑の目を見つめ、綾芽がそう言うと、彼の目には見る間に涙が溜まって行く。

力強く、澄んだ瞳。

真っ直ぐで。

娘達が彼女を慈しみ、大事に育てて来たのが分かる。

「ああ…。幸せにおなり。綾音も泰芽もずっとキミ達を見守っているから…。僕も…ね」

そう言うと宗佑は綾芽を抱き締めた。

近い将来、この華奢な背にグループの重圧を背負わせる事になる。

しかし、それを葛城や彼女を大切に思う人々が支えてくれるだろう。

心配する事はない。

この子は、大勢の愛に守られている子だから。

「綾芽、葛城に虐められたら、お祖父ちゃんに言うんだよ?仕返ししてあげるからね!」

零れ落ちそうになる、涙を拭いながら、冗談交じりに宗佑がそう言う。

どんな時でも葛城を弄るのを忘れない。

それが宗佑の葛城に対する愛情である事は、葛城にも分かっている。

「宗佑様、ご安心下さい。絶対に綾芽をそんな目には合わせませんから」

「どうだろう?キミは綾芽に対してはブレーキが利かなくなるからね?」

「………。それは…否定出来ませんが…」

「ほら、みなさい」

葛城の言葉にドヤ顔で返す宗佑。

和やかに、そして賑やかに晩餐は進んで行く。

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