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お嬢様♡レッスン

第118章 Last Lesson♥幸せになりましょう

「俺が行っても行かなくても、記憶が戻らなくても、綾芽はきっと葛城さんとまた出逢っていたと思う。二人はそういう運命だ」

「莉玖…」

「行こう、綾芽。葛城さんの許へ。俺がお前を送り届ける!」

そう言うと莉玖は綾芽の手を取った。

それに続き、安岡女史が綾芽のドレスの裾と長いベールを手に取る。

「参りましょう、お嬢様。今日の晴れ姿を皆様に見て頂く為に!」

安岡の言葉に綾芽が頷くと、莉玖は彼女の手を引き歩き始める。

エレベーターで1階まで下り、玄関前で待たせてある馬車に綾芽を誘導する。

馬車には宗佑が乗って待っていた。

綾芽が馬車に乗り込むと、宗佑は綾芽の方に身体ごと向き直り、じっと彼女を見つめた。

「綾芽…。本当に綺麗だよ。綾音と泰芽にも見せてやりたかったな」

そう言って孫娘の手を取る宗佑。

「お祖父様…」

綾芽は胸がいっぱいで、それだけを口にするのがやっとだった。

ずっと離れて暮らしていた自分を愛し、慈しみ、包んでくれた優しい祖父。

運命の人に引き合わせてくれた人。

「お祖父様…。私を引き取って下さって、愛して下さって有難うございました。これからも、ご指導を宜しくお願い致します」

そう言うと綾芽は深々と宗佑に頭を下げた。

宗佑はそれに頷き、綾芽の肩を優しく撫でる。

御者台に座る莉玖と安岡女子は暫く祖父と孫のふれあいの時間を優しい眼差しで見ていた。

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