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綾芽は参列者達に挨拶をしながらゆっくりと前に進んだ。

邸で働く使用人達も参列している。

感慨深げに目に涙を浮かべている者や満面の笑みで拍手を送る者。

綾芽と莉玖の祖母の顔や、巽や真琴、広夢の父の顔も見える。

ロンドンから帰って来る際に、同乗したグループの重役達、そして勿論、フレデリクとウィリアムの顔も。

綾芽と葛城の結婚の祝いに駆けつけた者達は皆、心からの祝福の拍手を送った。

そうしてやっと葛城の許まで辿り着くと、宗佑から葛城に綾芽の手が引き渡される。

葛城は綾芽の手を取ると、眩しそうに彼女を見つめた。

「どんなにこの日が待ち遠しかったでしょう。もう、私からは逃げられませんよ？」

葛城はそう言うと綾芽の腰に手を回し、彼女を式台の傍までエスコートする。

「逃げるわけないじゃないですか。それよりも慎吾さんこそ、私を置いて行かないで下さいね？」

「当たり前じゃないですか。もう、貴女から離れる事など、出来るわけがありません」

「ちょっと！二人共お喋りはそこまでにして頂戴？」

葛城と綾芽に恵莉奈が注意をした。

二人は恵莉奈の仕切りの下、参列者の前でこれからの決意と永遠の愛を誓う。