
お嬢様♡レッスン
第119章 それから…
綾芽が東乃宮の邸に来てから、5年の歳月が流れ───。
「それでは、今回の共同企画はこちらの方で進めさせてさせて頂きます」
東乃宮コンツェルン総本部である”株式会社 暁”の重役会議室では、ロートマン商会とのタッグを組んだ企画についての最終的な会議が行われていた。
U字型に並んだデスク。
その先端には東乃宮宗佑。その両隣には綾芽と葛城の姿がある。企画のプレゼンを行なったのは、ロートマン商会CEOのウィリアム。
そして連なる重役達の中には、綾芽達がイギリスから帰ってくる際に、飛行機に同上していた顔もちらほら見えた。
会議終了の声と共に、役員達は書類を纏め席を立つ。葛城と綾芽は役員達のある一人に呼び止められた。
飛行機に同乗していた役員である。彼とは結婚式依頼、顔を合わせるのは久し振りだ。
彼はヨーロッパ支部の支部長を務めていて、滅多に日本には戻って来ないからである。
「お久し振りですね」
そう言って葛城と綾芽は彼と握手を交わす。
「相変わらず仲が宜しい様で何よりです」
そう支部長が微笑んで二人を見ると、葛城は『お陰様で』と答えた。
「そう言えば…」
支部長が思い出した様な顔をし、周りを見回す。
そして葛城の耳元に近付くと『あの時のバカップル振りは健在ですか?』と小声で尋ねた。
「何の事です?」
葛城は彼の問いに怪訝そうな顔を示した。
