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お嬢様♡レッスン

第122章 【番外編】秘書のお仕事Ⅰ

恥ずかしい自分の過去を消す事は出来ないけれど。

今の自分があるのは、その過去があり、過ちを正してくれた葛城や周りの人達のお陰である。

橘あかりはそれを真摯に受け止められるくらいには成長していた。

過去を受け止め、人として成長した彼女には、沢山の交際の申し込みが舞い込んで来たが、彼女はそれを全て断っていた。

昔の彼女であれば、迷わず承諾するような相手であっても。

黒崎以外の男性は、彼女の目には魅力的には映らないのだ。

だから、受け入れられなくても、自分が諦めがつくまでは、彼を想い続けたい。

橘はそう思っていた。

橘は薄いピンクの口紅を塗り、鏡に向かって笑顔を作ると、午後の業務へと戻っていった。

須藤も柏原も化粧直しを済ませると、同様に午後の業務へと戻る。

秘書の身だしなみは、自分を美しく見せる為ではなく、あくまでも接する人々へ不快感を与えない為のものであり、華美にはしない。

来客対応のある彼女達の印象は、そのまま上司への評価にもなるのである。

元々の顔の造形が綺麗な方である彼女達は、仕事への情熱で魅力を増し、華美なメイクを施さなくても十分美しくなっており、来客達の評判も上々であった。

活き活きと仕事をする彼女達の姿に周りも影響を受け、会社は活気に溢れていた。

葛城達が残して行ったものは、彼女達の会社にとって、非常に大きなものだった。

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