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お嬢様♡レッスン

第122章 【番外編】秘書のお仕事Ⅰ

招待客が席に落ち着くと、白い燕尾服を身に纏った葛城が現れる。

彼はバージンロードの両脇に並ぶ人々に礼をしながら、一歩一歩式台の方へと向かって行く。

橘達の姿を認めると、軽く微笑んで会釈をして通り過ぎて行った。

そして彼が式台まで辿り着くと、馬蹄が石畳の上を速足で向かって来る音が聞こえて来る。

花嫁の登場である。

馬車と馬の蹄が石畳の上を走る音が止まると、邸の主にエスコートされ花嫁が現れた。

招待客が多いせいで、とてつもなく長いバージンロードを静々と歩く花嫁。

純白のウエディングドレスに身を包みベールで顔を隠され確認する事は出来ないが、歩く姿に漂う気品を橘は感じる。

それが、彼女の誓いの言葉を聞いて、僅かな時間で身に付けたものだと聞いて橘は驚いた。

粛々と式は進み、誓いの口付けをする為に葛城が彼女のベールを捲り上げ、葛城と黒崎の想い人の顔が露わになると橘は息を呑んだ。

凄い美人という訳ではない。

どちらかと言えば可愛らしい人。

しかし、その瞳には知性が宿り、人を惹き付ける何かを感じる。

そして、愛し愛される悦びの中、一際美しく輝いて見えた。

更に驚くべきは、それが嫌だと感じない事だ。

生まれ持った物なのだろうか。

橘は『黒崎が恋い焦がれる相手』としてではなく、純粋に『杜若綾芽』と言う人物に興味を持ったのだった。

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