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お嬢様♡レッスン

第122章 【番外編】秘書のお仕事Ⅰ

披露宴は庭のまた別な一角に用意されていた。

上司の事に気を配りながらも、黒崎の事が心配になり、橘あかりはつい彼の傍をうろうろとしてしまう。

他の男の元へ嫁いだ想い人の愛に満ちて輝く姿を見て落ち込んでいないだろうかと。

しかし、彼は心の底から彼女の幸せな姿を喜んでいるようだった。

それに少し安堵した橘は、周りの声に耳を傾ける。

彼女が居た一角は、この邸で働く者の家族達が集っている所だった。

その為、綾芽についての話に皆が花を咲かせている。

勿論、葛城についてもだ。

元上司のプライベートや過去の話は、聞いてはいけない事を聞いている様な気がしてドキドキしたが、それでも好奇心には抗えない。

橘は彼等の生い立ちや紆余曲折を経ての今がある事を知った。

そして今日の主役である綾芽が、どれだけの努力家であり、人を思いやる心を持っているのかを知ったのだった。

大勢の人に愛されている綾芽を羨ましく思う。

しかし、それは彼女の人徳に依る物である事を橘は理解している。

大勢の人に支えられてはいるが、それと同時に期待もされている。

両親を失ったばかりで心細かったであろうに突然そのプレッシャーがのしかかったのである。

それでも彼女は逃げずに受け止めた。

そんな綾芽の姿を見て、葛城も黒崎も惹かれたのではないだろうか。

いつも何かに逃げていた自分とは大違いである。

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