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お嬢様♡レッスン

第123章 【番外編】執事の受難


「Hoooooooo!!」

突然、走り出した客人に、白河はまたかと溜息を吐いた。そして、もう一人の客人にこの場で待つように伝え、走り出す。

「シラカワも大変だねぇ……」

そう言って白河の後ろ姿を、近くのガードレールに凭れて見送るフレデリク。

白河が追い掛けて行ったのは、ダグラス。フレデリクと彼は、クリスマス休暇を日本で過ごさないかと綾芽から招待を受けて、はるばる英国からやって来ていた。

そして、この日はダグラスの要望で都内観光に繰り出して来たのである。綾芽と葛城、そして兄のフレデリクは、他に用があるからと、この観光には同行していない。

また、ロートマン兄弟の執事・ヘンリーもウィリアムに付き添っており、一緒ではなかった。

ダグラスとフレデリクの観光の案内人を任されたのは、東乃宮の執事・白河。昨日は、彼にお茶を点てて貰った。

初めて呑む、本場の抹茶の味にダグラスは顔を顰めていた。フレデリクはと言えば、確かに苦いがその味の奥に甘味を感じ、また、まったりとした味わいを気に入ったのだった。

お茶を点てている時の、白河の凛とした佇まいを見て、ダグラスは『OH!サムライ』と言って喜び、尊敬の目を向けていたのだが、今日のダグラスは彼を振り回しっ放しである。

ダグラスは好奇心が旺盛で、通りでビラを配っているメイド服の女の子を視界に捉えると、すぐ様、そちらへ向かってダッシュをし、大好きなアニメのフィギュアを捉えれば、そちらへ走って行ってしまうのだ。

フレデリクとダグラス。どちらが年上なのか、分からない。しかし、白河の心配はダグラスだけではなかった。

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