
お嬢様♡レッスン
第123章 【番外編】執事の受難
何せフレデリクは絶世の美少年である。一人で放って置くと、知らない女性には声を掛けられるし、美少年好きの男性には無理矢理連れて行かれそうになるし、人だかりは出来るしで、フレデリク本人の身が危ない。
お陰で、白河の心が休まる暇がない。『自分はとことん損な役回りだ』と彼が嘆いても、誰も彼を責めたりはしないだろう。
しかも、人気投票では、彼には1票も入らなかった。あの、ダグラスでさえ、『話を読んでみたい』と言わしめたのに。その事が、白河の心を更に落ち込ませていた。
それにしても、どこへ行ったと言うのだろうか。
白河はダグラスを見失った場所で、辺りをキョロキョロと見回して、ビクリとした。
またもや、ビラ配りをしているメイドに話し掛け、写真を撮っている。そして、彼女達は彼を店に連れて行こうとしていた。
白河は慌てて駆け寄ると、メイドのコスプレをしている少女達に謝り、彼を連れ戻す。
「ダグラス様!いい加減にして下さい。お店には既に予約を入れてあるのですから、他のお店の女性にフラフラと付いて行かないで下さい」
そう言うと白河はダグラスの腕を引きながら、フレデリクの待っている場所へと戻った。
そしてまた、ビクリと肩を震わせる。フレデリクの周りには、女性の群れが出来ていたからだ。
しかし、不思議だと白河は思う。確かにフレデリクは美形であるが、ダグラスだとて、かなりのイケメンなのである。
それなのに女性が寄って来ないのは、滲み出る"オタク"の香りがするからなのだろうか。
そう思い、白河は彼に腕を引かれるダグラスをチラっと見やる。
