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お嬢様♡レッスン

第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情


未だ、陽の昇っていない暗い庭園を窓から見降ろす。春にはこの庭園で綾芽と葛城の結婚式が執り行われる事になっており、今は柳瀬親子が造園工事の最中である。

そんな庭を眺めていると、階下から階段を上って来る足音が、高月の耳に届いた。

「高月さん。おはようございます」

そう言って歩み寄って来たのは、邸で働くメイドの一人だった。

「おはようございます。どうしたんですか? こんなに朝早くから……」

高月は少し驚きながらも、彼女にそう尋ねる。するとメイドは、後ろ手に隠し持っていた物を彼に差し出し、「一番に渡したかったから」と言ってそれを彼に押し付けると、あっと言う間に彼の許から去って行った。

呆気に取られた高月が押し付けられた包みを見ると、綺麗にラッピングされていた箱だった。そしてそれにはカードが添えられている。

高月がそのカードを広げると、女性らしい可愛らしい文字で"いつかは振り向いて頂けるように頑張ります❤"と書かれていた。

「ああ……。今日はバレンタインだったのですね」

高月はそう呟くと、小さな笑みを零した。

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