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お嬢様♡レッスン

第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情


今は未だ、他の女性との事は考えられないが、自分の事を想ってくれる女性がいるのだと思うと、心が温かくなる。

それは今までに感じた事のない、温かさだった。それまで、数多くの女性と肌を合わせた事のあった彼だが、彼女達の気持ちを考えた事など無かった。

綾芽と出会い愛する事で、人を想う気持ちとその温かさに気付いた。

高月は、このチョコレートをはじめとして、この日沢山のチョコレートやプレゼントを貰う事になるだろう。

元来、見た目の良い男であるが、人を突き放すような冷たい雰囲気を纏っていた為、尊敬や信頼される事はあっても、仕事以外の事で声を掛けられる雰囲気にではなかった。

綾芽との事は、知る者も多い。

彼女との出会いが、彼の雰囲気を柔らかくさせ、親しみやすくさせた。女性陣からの人気も鰻上りであった。

彼の春はひょっとしたら直ぐそこまで来ているのかも知れない。それは彼の気持ち次第である事は間違いないだろう。

部屋から出ようとして、メイドが高月にチョコレートを渡す瞬間を目撃してしまった綾芽はそう思った。

願わくば高月には幸せになって欲しい。彼の想いに応える事が出来ない自分の身勝手で都合の良い願いなのかも知れないが、かつては好きだと思った男だ。

「高月、頑張って」

自分が言える事ではないかも知れないけれど。綾芽は高月の背中に向けて、そう呟くと扉を閉め、持っていた包みをそっと机の引き出しに仕舞ったのだった。

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