お嬢様♡レッスン
第124章 【番外編】男達のバレンタイン事情
葛城の尋ねる声に、綾芽は振り返るとにっこり笑って「起こしちゃった?」と言った。
「ええ。急に肌寒さを感じて目が覚めました」
「そうなの? ごめんなさい……」
そう言うと綾芽は葛城の居るベッドに戻り、布団の中に潜り込む。そして葛城に擦り寄った。
「一体、どうしたと言うのです」
葛城は腕の中に戻って来た綾芽を抱き締めて頭を撫でながら尋ねる。すると綾芽は、今の出来事を話し始めた。
「今ね、高月にチョコレートを渡そうかと思ったんだけど……。やっぱり辞めました」
「何故です?」
「高月の事を想ってくれる子が居るみたいだから……」
「まあ、彼は仕事も出来ますし、いい男ですからそれなりに彼を想う女性は居るでしょうね」
「それもそうですね。でも、朝一番に人目を忍んで渡しに来る子って健気だと思いませんか?」
「そう言う貴女はどうなんです? 恋人を放っておいて、他の男に朝一番でチョコレートを渡しに行こうとするなんて……」
「あら? 慎吾さん、ヤキモチですか?」
「そうですよ? いけませんか?」
「いいえ。嬉しいです」
綾芽はそう言うと、額を葛城の胸に擦り付けた。そんな彼女の仕草が可愛らしくて、彼は彼女を強く抱き締める。