お嬢様♡レッスン
第23章 執事のお仕事◆杜若莉玖の場合
早朝。
まだ寝静まっている東乃宮邸の一角で、動く人影が2つ。
「よしよーし!今日はお嬢様の初の騎乗だからな。振り落とさないでやってくれよ?」
そう言って男は飼葉を与えながら、優しく数回馬の首元をポンポンと叩いた。
「親父!こっちは終わったぞ?」
「ああ、俺の方もすぐ終わる」
現在、東乃宮邸が所有している乗馬用の馬は3頭。
一頭は莉玖の相棒の“サテライト号”で、黒鹿毛の精悍な顔付きの馬である。
もう一頭は宗佑の愛馬で、名を“ゴールドウィンド号”と言い、栃栗毛で愛嬌のある馬だ。
そしてもう一頭。
これから綾芽の愛馬となる“シラユキ号”。
元々は芦毛なのだが、年をとった為、全身は雪の様に白い。
この3頭の世話をしているのが、杜若親子である。
「シラユキの調子はどうだ?」
「ああ、今日は機嫌が何時になく良いみたいだ。コイツもお嬢様をお乗せするのが楽しみなんだろう」
「そうか。頼むからお嬢様を振り落とさないでくれよ?」
そう言いながら莉玖は目を細めてシラユキ号の首を撫でる。
シラユキは『任せておけ』と言わんばかりに嘶いた。
「お嬢様のレッスンは何時からだ?」
「10時から」
「婆さん連れて来てもいいか?お嬢様に逢いたがってるんだ」
「んー?いいんじゃねぇの?お嬢様にとっても婆ちゃんなんだしさ」
“婆さん”とは綾芽の父の母であり、莉玖の父の母でもある。
「そうか。婆さん、喜ぶよ」
「ああ」
「さて、母さん起こしに行ってくるかなぁ」
杜若(父)は伸びをしながらそう言うと、宿舎に戻って行く。
彼の妻はメイドとして東乃宮邸の本館で働いている。
父の背中を見送りながら、莉玖は仕事の段取りを頭の中で整理していた。
馬達の食事が終わったら、彼等を馬場に出して遊ばせ、その間に馬房の掃除と水桶の交換。
水桶と水は常に綺麗にしておかなければならない。
それが終わったら朝食を摂り、綾芽を起こしに行き、彼女の朝食の給仕。
次に自分が管理を任されている乗馬エリア全ての備品や設備のチェックを行い、発注や修繕が必要な物があれば、高月に報告。
その後、綾芽と乗馬のレッスン。
それが終われば、綾芽の昼食の給仕。
本来なら大学に居る時間ではあるが、綾芽が復学する迄、担当の日は講義を休む事にした。
まだ寝静まっている東乃宮邸の一角で、動く人影が2つ。
「よしよーし!今日はお嬢様の初の騎乗だからな。振り落とさないでやってくれよ?」
そう言って男は飼葉を与えながら、優しく数回馬の首元をポンポンと叩いた。
「親父!こっちは終わったぞ?」
「ああ、俺の方もすぐ終わる」
現在、東乃宮邸が所有している乗馬用の馬は3頭。
一頭は莉玖の相棒の“サテライト号”で、黒鹿毛の精悍な顔付きの馬である。
もう一頭は宗佑の愛馬で、名を“ゴールドウィンド号”と言い、栃栗毛で愛嬌のある馬だ。
そしてもう一頭。
これから綾芽の愛馬となる“シラユキ号”。
元々は芦毛なのだが、年をとった為、全身は雪の様に白い。
この3頭の世話をしているのが、杜若親子である。
「シラユキの調子はどうだ?」
「ああ、今日は機嫌が何時になく良いみたいだ。コイツもお嬢様をお乗せするのが楽しみなんだろう」
「そうか。頼むからお嬢様を振り落とさないでくれよ?」
そう言いながら莉玖は目を細めてシラユキ号の首を撫でる。
シラユキは『任せておけ』と言わんばかりに嘶いた。
「お嬢様のレッスンは何時からだ?」
「10時から」
「婆さん連れて来てもいいか?お嬢様に逢いたがってるんだ」
「んー?いいんじゃねぇの?お嬢様にとっても婆ちゃんなんだしさ」
“婆さん”とは綾芽の父の母であり、莉玖の父の母でもある。
「そうか。婆さん、喜ぶよ」
「ああ」
「さて、母さん起こしに行ってくるかなぁ」
杜若(父)は伸びをしながらそう言うと、宿舎に戻って行く。
彼の妻はメイドとして東乃宮邸の本館で働いている。
父の背中を見送りながら、莉玖は仕事の段取りを頭の中で整理していた。
馬達の食事が終わったら、彼等を馬場に出して遊ばせ、その間に馬房の掃除と水桶の交換。
水桶と水は常に綺麗にしておかなければならない。
それが終わったら朝食を摂り、綾芽を起こしに行き、彼女の朝食の給仕。
次に自分が管理を任されている乗馬エリア全ての備品や設備のチェックを行い、発注や修繕が必要な物があれば、高月に報告。
その後、綾芽と乗馬のレッスン。
それが終われば、綾芽の昼食の給仕。
本来なら大学に居る時間ではあるが、綾芽が復学する迄、担当の日は講義を休む事にした。