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お嬢様♡レッスン

第25章 執事の想いⅠ(高月)

綾芽様に呼ばれた。

きっと乗馬前に悪戯した事を叱られるのであろう。

綾芽様を心からお慕いしているにも関わらず、自分は彼女を困らせる様な事ばかりをしてしまう。

何故なら、お側にいない時も、自分の事を思い出して欲しいから。

それが怒りの感情であっても、侮蔑でも構わない。

あの方のお心に住むことが出来るのであれば。

綾芽様は日に日に美しくなられる。

そして男を惑わす。

彼女の味を知ってしまったが最後。

彼女を求めずには居られなくなる。

それなのに、杜若はお嬢様を抱かなかった。

折角、お膳立てをしてやったと言うのに。

彼は知っている。

綾芽様の味を知ってしまえば、歯止めが利かなくなる事を。

初めは、たかが小娘一人どうにでもなる。

そう思っていた。

彼女は野心の為の『道具』に過ぎないと。

彼女の味を知って、自分の考えが甘かった事を知った。

彼女は身体だけではなく、心も魅了する。

全てを彼女の思い通りしたくなくて。

それであんな事をしてしまうのかも知れない。

自分がもし『神崎雅哉』として、正式に交際を申し込んだなら、彼女は受け入れてくれるだろうか?

でも、それはしたくはない。

何故なら、神崎に利用されてしまうから。

神崎一族は金に汚い。

欲望に塗れた一族だ。

自分の母は、一族のトップである神崎征四郎の愛人だ。

好きでそうなった訳ではない。

母は征四郎の末の息子の家庭教師だった。

そこでまず、長男の壮一に犯された。

その時既に長男は家庭を持っていたから、不倫である。

それをネタに次男に関係を迫られた。

母は息子の俺が言うのも変だが、美しく聡明な人だ。

俺の母は神崎一族の男達にメチャクチャにされた。

母の心は壊れてしまった。

征四郎はその責任と言う名目の下、母を自分の愛人にした。

責任を取るのであれば、愛人ではなく妻にするべきだろう。

奴の配偶者は既にこの世にはいないのだから。

俺は神崎一族が嫌いだった。

しかし、俺にはその汚い血が流れている。

俺はそれが嫌で、神崎ではなく母の姓である高月を名乗っている。

俺は彼奴等に復讐するために、執事となり東乃宮で働く事にした。

東乃宮グループは神崎等は足元にも及ばない、大財閥だ。

この場所で働いてみて思った。

神崎一族はクズであると。

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