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お嬢様♡レッスン

第27章 嵐の様な来訪者

その来訪者はなんの前触れもなく、突然やって来た。

「これはこれは、恵莉奈お嬢様。ご連絡を頂けましたらお迎えに上がりましたものを…」

高月が突然の来訪者に丁寧に対応する。

綾芽はそれを3階の踊り場から見ていた。

(誰?)

「旦那様の弟さんの娘の恵莉奈お嬢様」

綾芽の疑問に答えたのは莉玖だ。

今日の綾芽の担当執事は高月なのだが、恵莉奈の来訪の対応をする為、丁度通りかかった莉玖に綾芽を預けたのだった。

「俺、あの人キライ。我侭だし、うるせーし」

「ちょっ!リク!そんな事言うもんじゃないわ!」

「綾芽も直ぐに分かる。あのウザさが」

そう言うと莉玖はさっさと綾芽の部屋の扉の前まで行き、扉を開けて綾芽が入るのを促した。

「ご挨拶に行かなくて大丈夫かしら?」

「ん。行かないと駄目だろうな。その前に着替えた方がいい。リュウ兄呼ぶから待ってて」

「何で速水さん!?」

「リュウ兄、あの人の好み把握してるから、適切な服選んでくれる」

「ああ、なるほど。でも何で知ってるの?」

「前、あの人の愛人やってた」

「ええっ!?」

「リュウ兄タフだから」

「ちょっ!リク人の秘密をペラペラ話さないでくれる?」

「あ、来た」

「速水さん、早っ!」

「丁度、音楽室に居たんですよ。お嬢様、今日もお綺麗ですね!」

そう言うと速水は跪いて綾芽の手の甲に口付けた。

「あは…ははは…」

綾芽は苦笑いである。

速水は早速服を選び出すと綾芽を着替えさせ、髪を整える。

「速水さん、上手~!安岡さん顔負け」

「これくらい普通ですよ?莉玖と真琴には無理だけど」

「莉玖、不器用そうだもんね?」

「うるせー」

「リク!お嬢様に向かって『うるせー』は無いでしょ!」

「あ!いいの!私が普通に話して欲しいって言ったの。従兄弟だし」

「いいなぁ、特別扱い…」

「速水さんも、普通に話して下さっても結構ですよ?」

「有難う御座います。それでは執事では無い時にそうさせて頂きますね?」

そう言って速水が鏡の中の綾芽にウィンクすると、彼の携帯が鳴る。

「うわ~!恵莉奈の相手しろって…」

がっくり項垂れる速水。

「ご愁傷さま」

莉玖がボソッとそう言った。

「お嬢様、これで失礼致します。後で高月さんがお迎えに来ますので、それ迄お部屋でお待ち下さいとの事です」

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