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お嬢様♡レッスン

第39章 お嬢様とお嬢様

「あら?このスコーン、中々イケルわね」

アフタヌーンティーの時間。

綾芽は恵莉奈を誘って庭でお茶を楽しんでいる。

「お気に召された様で何よりですわ」

高月は勿論の事、葛城や他の執事達も恵莉奈と姫川にお帰り頂きたかったのだが、綾芽がそれを引き止めた。

これには、邸の者全てが驚いた。

「ところで、お話って何ですの?」

綾芽は単刀直入に話を切り出す。

恵莉奈はチラッと執事達を見てから、声を潜めて綾芽だけに聞こえる様に話し始めた。

「私ね、ある方が好きなの」

「それがどうかしたんですの?」

「その人は使用人でね、両親に反対されてるの」

“使用人”と言う言葉に綾芽はドキリとする。

(まさか…葛城さんじゃないよね?葛城さんに会いに来たとかじゃないよね?)

「それはどんな方なんですの?」

「綾芽さんもご存知の方よ?」

「まさか、ウチの使用人って事は…?」

「違うわよ!もう!鈍いわねぇ…。姫川に決まってるじゃない!」

「えっ?ええ~~~!?」

「そんなに驚く事?」

「驚きますよ!好きな人が居るのに何で他の人とエッチ出来るんですかっ!」

「あら、貴女だってしているでしょう?」

「うっ…それはそうですけど…」

「ふふっ!かなり動揺しているのね?お言葉が庶民に戻ってますわよ?」

そう言って笑いながら、恵莉奈はカップを傾けた。

仕種は洗練されていて、やはり生粋のお嬢様なのだと今更ながらに気付く。

「それで、それを私に告白してどうなさるおつもりなんですの?」

「別にどうもしないわ。唯、誰かに聞いて欲しかったの。こんな事、学校のお友達にも話せないもの…」

「そのお気持ちは私にも分かりますわ。私もそうですもの…」

「やっぱり!綾芽さんは、彼らの中で何方が一番お好きなの?」

「えっ!?」

「高月と仲が宜しい様だけど、違うわよね?」

(恵莉奈さんて以外と鋭い!?)

「私、結構男女の機微には鼻が利くのよ?」

そう言って恵莉奈は少し得意気な顔でスコーンを一欠片、口に放り込んだ。

莉玖も高月も恵莉奈を苦手な様な口振りであったが、綾芽は彼女の事が嫌いではない。

むしろ話してみて、悪い印象は持たなかった。

まぁ、そう思うのは葛城との仲が進展したせいなのかも知れないが。

それについては、綾芽は自分は単純だと思う。

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