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お嬢様♡レッスン

第39章 お嬢様とお嬢様

「ウチって特殊よね。執事とセックスして性教育だなんて…」

余程スコーンが気に入ったのか、恵莉奈は二つ目を姫川に命じて取り分けて貰いながら、そう言って小さな溜息を吐いた。

「でも、案外他のお家でもあるのかも知れないわ。皆さん仰らないだけで…」

「そうなんでしょうか…」

「そう言う恋愛モノのお話がよく書かれているのだもの、あってもおかしくはないんじゃない?」

「えっ!そんな物があるんですか?」

「あるわよ?恋愛対象になるから、執事カフェなんて言う物もあるんだし?」

「成程…」

「一度、興味本意で行ってみたのだけれど、やっぱり偽物よね。幾ら話し方やら身のこなしやらをそれらしく見せてもそれだけよ。本当の執事は、あんなバサバサした髪はしていないし、きちんと専門の学校を出て、それなりの教育を受けているわ」

執事について恵莉奈は熱く語り、綾芽はそれに圧倒された。

「よく、ご存知なんですね…」

「当たり前でしょ?好きな人の仕事なんですもの」

「ふふっ!ここまで思われて姫川さんは幸せですね?」

そう言って綾芽が姫川の方を見ると、彼はポーカーフェイスを装ってはいるが、心なしかほんのり耳が赤くなっていた。

「ところで綾芽さん?伯父様はいつお戻りになるのかしら?」

「伯父…?」

「やぁね、貴女のお爺様!私にとっては伯父様!」

「ああ!ごめんなさい。恵莉奈さんって私と同じくらいの年だから、ピンと来なくて…。えっと、確か明後日、帰国予定ですわ」

恵莉奈は綾芽の一つ年上の22歳だ。

彼女の父は、宗佑の末弟で、年が15歳離れていた。

「そう…」

「どうかなさいまして?」

「何でもないわ。それより綾芽さんのお披露目パーティーももうすぐなんじゃなくて?」

「ええ…」

「不安そうな顔ね?いいこと?そんなんじゃあ、つけ込まれるだけよ?貴女は東乃宮の令嬢として堂々としてればいいのよ!」

「恵莉奈さん…」

「私も微力ながら、協力するわよ!」

「恵莉奈さん!有難う!」

恵莉奈の言葉に、白鳥館の執事達は目を丸くした。

以前、遊びに来た時は人の事を考えない、我侭で手の付けられないお嬢様だったのだ。

恐らく、姫川との恋が彼女を変えたのだろう。

恋をする気持ちはここまで人を変える物なのか。

綾芽は恵莉奈と話をしてみて良かったと心からそう思ったのだった。

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