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お嬢様♡レッスン

第40章 お爺様の帰国

プライベート・ジェットのタラップを降り、ターミナルを抜け迎えのリムジンへと乗り込む。

約20日振りの日本だ。

帰国は来週の予定だったが、毎日報告される孫・綾芽の成長振りを聞いて、早くそれをこの目で確かめたいと思い、仕事を一気に片付けて帰国した。

更には、嬉しい事に私の愛しい孫娘と、最も信頼し息子の様に思う家令の葛城が恋仲になったと言うのだから、これは早速、直接会って弄り倒さなくてはならない。

私は流れる景色を見ながら、どうやって弄り倒すかを考えてウキウキしていた。

葛城は、東乃宮グループの末端の子会社の更に下請けの会社を経営する、そして私の親友でもあった夫婦の忘れ形見だ。

彼の両親は彼が12歳の頃、会社の経営に行き詰まって自ら命を絶った。

それを最初に発見したのは、彼だったと言う。

それが、12歳の子供にどんな衝撃を与えたのか。

その苦痛と恐怖と混乱は計り知れない。

事が起こるまで、私は彼らがそんな状況だとは知りもしなかった。

彼等は私に迷惑を掛けまいと、必死に隠していた様だ。

私は親友として、彼等を助けてやる事が出来なかった事を今でも悔やんでいる。

私に出来た事は、彼等が遺書に遺した、従業員300数名の受け入れと息子の面倒を見てやる事くらいだった。

丁度その頃、娘の綾音が家を出て行き、妻に先立たれていた私は、独りぼっちだった。

娘に向ける筈だった愛情や期待を全て葛城に背負わせてしまった。

私は彼を養子に迎える事を望んだが、それは彼に頑なに拒否された。

グループを背負う重圧が嫌だったのかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。

彼の親は、あくまでも生みの親である葛城夫妻だけだからと。

だから、戸籍はそのままが良いのだと、幼い彼は言ったのだ。

彼は頭も切れ、教えた事に対して期待以上の結果を出す様な子だった。

丁度、娘を連れて出て行った杜若の様に。

私は杜若と綾音が恋仲にある事は知っていたし、元々二人の結婚については反対するつもりはなかった。

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