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お嬢様♡レッスン

第40章 お爺様の帰国

大きなグループ企業ともなれば、それぞれの会社内で問題がある事がある。

我が東乃宮グループでも内部調査をする部署があるのだが、それでは中々調査が進まない事が多い。

社内でそう言う情報をリークする者がいるからだ。

そこで私は組織に囚われず一人で隠密行動が出来る、信頼が置ける者を若干名、公にせず囲い込んでいた。

これは、会社の中ではなく、使用人の中でも頭の切れる者から選び出していた。

会社組織に籍を置く者は、必ず人事部を通して部署移動をしなければならず、そうなると私の目的である‟秘密裏に”とはいかなくなってしまうからである。

それに、長年仕えてきてくれている、使用人達は公私共に信頼が置ける者達ばかりである。

私はその任を杜若に与えた。

当時の綾音は、まだ16歳と若く結婚等は先の事だろうと思っていた。

だから、10年。

彼を隠密に動く調査員として全国に派遣する事にした。

勿論、その期間中に綾音に会う事は許した。

しかし、その10年を待つ事が出来ずに、綾音は杜若を追いかけて家を出て行ってしまった。

まぁ、10年もすれば戻って来るだろう。

私はそう踏んでいたのだが、杜若は戻って来なかった。

『まだまだグループに蔓延る闇がある』と言って。

杜若達は20年、私から逃げていた事になっているが、実際はそうではない。

誰にも知られない様に連絡は取り合っていたし、それは綾芽が生まれてからは頻繁に行われていた。

しかし、この事については誰にも話してはいない。

いつか綾芽に話す時が来るのかも知れない。

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