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お嬢様♡レッスン

第41章 ディナーで団欒

宗佑が帰国した日の夜───。

本館にて、宗佑・綾芽・恵莉奈の三人でディナーに舌鼓を打っていた時の事だった。

「伯父様。私、伯父様にお願いがありますの」

突然、恵莉奈がそう話を切り出した。

「何だい?」

「私、ある方と結婚したいと考えております」

「ほぉ?」

「でも、お父様もお母様も反対で…。それで、伯父様にお口添えして頂けないかと思ってここに参りましたの」

「反対されるような人なのかい?」

「いいえ!決して!ステイタスではなく、優秀な方を見抜く目をお持ちの伯父様なら理解して下さるかと思うわ。姫川?」

「はい。お嬢様」

控えていた姫川が恵莉奈の元へ歩み寄り、彼女の傍へと立つ。

「伯父様。私が結婚したいのは、この姫川です。彼はとても優秀な人なの。ちょっと意地悪なところはあるけれど、私の事を一番に考えてくれる、大切な人なの」

そう言って恵莉奈は姫川の手を握り真剣な目で宗佑を見る。

「恵莉奈。言わせて貰うけど、執事が主人を一番に思うのは、当然の事だよ?仮に結婚したとして、キミが彼の主人でなくなり、他の者を主人とした場合、彼の中では、その主人が一番となるんだよ?」

「そんな事は分かっております。私達、話し合ったの。もし結婚を許して頂けるのでしたら、彼は執事を辞めて他の仕事に就いても良いと言ってくれたわ。私も、庶民として生活する覚悟は出来ています」

「‟優秀な執事”であるのに執事を辞めさせるのかい?」

「執事の経験を活かして出来る仕事もあるわ。私、執事の学校と執事カフェを事業展開するつもりなの。彼にはそこで教鞭を取って頂くわ。執事カフェについては、色々なお店も見て回ったわ。有名なお店でも、そこそこ程度でした。私、本物の執事のサービスがどの様なモノであるのか、日本の庶民の女子の皆様にもラグジュアリーな体験をして頂きたいと思っておりますの」

恵莉奈が熱弁を揮う。
綾芽は彼女の話を黙って聞きながら、『ちゃんと将来を考えていて凄いな』と感心していた。

「面白いね」

「でしょう?」

「いや、キミがだよ。人任せな甘ったれたお嬢ちゃんかと思っていたけれど、会わない間に随分と大人になったね!彼がキミをそう変えてくれたのかな?」

「ええ」

「成程、優秀な執事だ」

恵莉奈は姫川を認められた様な気がして得意げな笑みを見せた。

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