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「これだ！」

最近、瀬戸内近辺の土地を幾つか買い上げた情報を見つけた。

そこに、無人島を買い上げた事も記載されている。

葛城はそれをプリントアウトした。

宗佑が直ぐに首を縦に振ってくれるとは思わないが、近日中の仕事を全て終えてしまえば何とか説得も出来るかも知れない。

「綾芽様。貴女は私が突然訪ねたら歓迎して下さるでしょうか？」

葛城は、窓を開け空を見上げる。

空は必ず彼女の居る場所と繋がっているから。

綾芽が邸に居ても、本館と別館では殆ど顔を合わす機会はない。

それは今と変わらないが、『直ぐに会える距離に居る合わない事』と、『会えない距離に居る合わない事』では雲泥の差がある。

想いが通じ合ってから、葛城はその事に気付いた。

今は技術が発達し、顔を見たいと思えばインターネットを介して顔を見ながら話す事は可能である。

しかし、触れたいと思っても触れる事は出来ない。

そんなに遠くない未来に、離れていても互いの温もりを伝え合う技術が広まるかも知れない。

それでも、やはり逢って抱き締めて直に互いの熱を伝え合いたい。

そう思う葛城なのであった。