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お嬢様♡レッスン

第64章 オフの執事達Ⅳ

「巽さん、何があったんすか?」

「悪い。それは言えない」

「そうっすか…」

「なぁ、リク?」

「何すか?」

「俺、本気で綾芽の事、好きだったわ」

「『だった』じゃなくて、今もなんでしょう?」

「まぁね。そんなに急には消えないよな………。俺、お前が羨ましいよ」

「何言ってんすか?」

「自分を律する事が出来る、お前がさ?」

「そんな事ないっすよ?」

「でも、お前は綾芽を抱かないじゃん」

「それは、従妹だから…」

「従妹は結婚出来るんだぜ?だったら抱いても良い筈じゃん」

「綾芽は、俺の姉貴みたいなモンすよ」

「何処までそう言って居られるんのかね?」

「何が言いたいんすか?」

「さぁね?俺は、綾芽を抱いた事も好きになった事も後悔してない。今は苦しいけど…。お前も後悔しないようにな?」

巽はそう言って、莉玖の肩をポンと叩くと立ち上がった。

「明日から、葛城さんの下働きで朝が早いから、俺ももう寝るわ。お休み」

「うっす!」

巽が部屋を出て行った後、残った酒類を片付ける。

彼等にしては、珍しく、殆ど手を付けていなかった。

幼馴染達の恋は花火の様に燃え上がり、あっと言う間に散ってしまっていた。

それを寂しく思いながら、何も出来なかった自分を情けなく思った莉玖なのであった。


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