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お嬢様♡レッスン

第66章 ありがとう

黒崎の想いに何度も応えた綾芽は、疲れ果てていつの間にかうとうとしていた。

気が付くと、ベッドに入る前は東の空で輝いていた太陽が、西の空へと傾いている。

ふと隣を見ると、一緒に居た筈の彼の姿がない。

(まさか!まだ行ってないよね?)

誠実な彼の事だ。

何も言わずに去ってしまう筈はない。

そう思いながらも、少しだけ焦りを感じる。

綾芽は身を起こし、脱ぎ散らかした洋服をランドリーバスケットに居れると新しい下着と洋服を身に着け部屋を出た。

先ず向かう先は黒崎の部屋だ。

「お兄ちゃん?居る?」

「綾芽ちゃん?どうぞ?」

探していた人物の声が返ってくると、綾芽は安堵した。

扉を開け、中へ入ると丁度荷物を纏め上げた所だった様だ。

「何も言わずに行っちゃったかと思った…」

「ゴメン。気持ち良さそうに眠ってたから、ギリギリまで起こさないでおこうかと思って…」

こういう時にまで自分を気遣ってくれる優しい黒崎。

その彼とは、あと少しで暫くはお別れだ。


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