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お嬢様♡レッスン

第75章 突然のトラブル発生。そして…

船長や船員達の事を考えている余裕等、なかった。

何とか綾芽を助けなければ。

それだけが彼の頭の中にある事だった。

「綾芽様!貴女の事は絶対に守ります!」

波飛沫を受けながら、葛城は必死に綾芽に声を掛ける。

「葛城さんっ!放して!」

そう言うと、綾芽は葛城の腕の中で暴れる。

「綾芽様っ!落ち着いて下さい!」

「私は落ち着いています!私がいなければ、貴方だけでも助かるかもしれない。だから放して!!早く遠くへ逃げてっ!!」

「嫌です!そんな事出来る訳がないでしょう?」

そう言いながら、葛城は必死に綾芽を抱き締める。

幸い、救命胴衣で沈む事は免れているが波に流され、どんどん船から離れて行く。

しかし、運命の悪戯はこの愛し合う恋人同士を無残にも引き裂く。

大きな波が二人を襲い、揉みくちゃにする。

船から剥がれ波に流された何かが、葛城の背を打ち付け、その拍子に必死に綾芽を抱きとめていた腕の力が一瞬抜けると、それを待っていたかの様に、潮は綾芽を攫って彼女を遠くへと連れ去ってしまった。

(綾芽様───っ!!!)


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