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お嬢様♡レッスン

第9章 執事の思惑Ⅰ(高月編)

(よっ、よかったぁ~)

高月が素直に退出した事に、綾芽は安堵の溜息を零した。

また、彼のペースに載せられて、朝からエッチな事をされるのではないかと心配していたのである。

『お願い』ではなく『命令』をする。

これは葛城から学んだ事だった。

(さて、さっさと着替えちゃおう!)

綾芽は隣に続く衣装部屋へと行き、今日の洋服をあれこれ物色する。

彼女の為に用意された服達は、華美では無いがカットか美しく、仕立ても上等な質の良い物だった。

Tシャツやスパッツ、ジーンズ等の類がないのが残念だ。

昨日、綾芽のアパートに置いてあった荷物を整理したのだが、家具類は全て処分、服やアクセサリーも両親にプレゼントされた思い出の品以外は処分となった。

綾芽はその中から、襟の詰まったなるべく釦の多いブラウスと、ロングのマーメイドラインのスカートを選んだ。

着替え終えると顔を洗い、歯を磨き、髪を整え、薄く化粧を施す。

身支度を整えると、絶妙なタイミングで高月が入って来た。

「ご準備は宜しいですか、お嬢様?」

綾芽は頷くと、高月とダイニングに向かい朝食を摂る。

イングリッシュマフィンにポーチドエッグ、ベーコン、サラダ、絞りたてのオレンジジュース。

脚の付いた皿に盛られているフルーツから好きな物を選ぶと、高月が慣れた手付きで皮を剥いて切り分けてくれた。

食べる間に今日の予定を聞く。

午前中はフリー。

午後から高月から語学を学ぶ事になっているらしい。

葛城がマナーや社交術、帝王学を受け持った為、彼は語学の担当になった様だ。

東乃宮グループの事業は海外にも展開している為、それなりの語学スキルは必要不可欠だ。

語学については、初めは速水がダンスのレッスンの際にフランス語、白河が茶道の際に中国語、柳瀬が華道の際にドイツ語、杜若が英語で会話をしながら講義をする予定だったらしい。

「えっ!?分からない習い事の上に分からない言葉で会話なんて出来る訳ないじゃないですか?」

「そう思いまして、語学は別になりました」

「そうでしたか。良かったです」

「私が外れれば良いとお思いにはならないのですか?」

「何でですか?」

「お嬢様の嫌がる事ばかりするからです」

「自覚はある訳ですね?」

「身に覚えはありますね」

「じゃあ、何でそんな事をするんですか?」

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