テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第78章 オークション

ウィリアム・クリストファー・ロートマンは木槌の音を聞くと口元の端を吊り上げた。

少々、値が張ったが『いい買い物』が出来たと。

彼は彼女が何者であるかを知っていた。

以前、仕事で日本に行った際に見た顔だ。

そして『これは利用出来る』と踏んでの事だった。

彼の秘書が手続きを済ませると、後は秘書に任せて会場を後にする。

(『記憶がない』と言っていたな。暫くは楽しめそうだ)

そうほくそ笑む。

わざわざ足を運んだ甲斐があった。

黒塗りのリムジンに乗り込むと、ネクタイを緩めながらそう思う。

日本の技術は素晴らしい。

我が国は、過去に産業革命の時代には革新的な進化や発展をしたが、それは過去の栄光だ。

それなのに我が国の人々は、プライドが高くそれを認めようとはしない。

他国に頭を下げて教えを乞う等、そのプライドが許さない。

確かに伝統を守る事は大事ではあるが、国の発展の為には、邪魔な場合もある。

それでみすみすチャンスを逃す等、馬鹿げている。

彼はそう思っている。

しかし、対等な立場でそれを手にする事が出来るのであれば、更に良い。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ