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お嬢様♡レッスン

第78章 オークション

(これは…?オークション?)

記憶のない綾芽ではあったが、今、目の前で繰り広げられている事には覚えがあった。



商品は…自分?



物の様に売られるのか。

そして、これからは物の様に扱われるのか。

あの船の男にされた様に。

辱められ、慰み者にされるのか。

この私が。

(『この私が』…?)

何故そんな事を思ったのであろうかと綾芽は思考を巡らす。

すると、心の片隅にある”誇り”を見つけた。

(一体何の?)

それが綾芽には分からない。

でも、それがとても大事な物であると言う事は感じた。

不安はあるが、嘆いてばかり居ても何も変わらない。

『500万!』

競っていた内の一人の男が声を上げると、これまでにない大きな歓声が上がる。

その音に綾芽は我に返った。

人々は好奇の目で綾芽を見ている。

「500万ドルが出ました!さぁ!他にいらっしゃいますか?」

『くっ…!!』

もう一方の男は悔しそうに下唇を噛み、拳を握って演台の上の男を睨む。

「無いようですので、500万ドルであちらの男性に決定致しました!!」

演台の男がマイクに向かって声を張り上げると、木槌を振り下ろした。

落札の合図だった。


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