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翌朝、ほぼ一睡もしていない二人は、ヘンリーの淹れてくれた少し濃い目の渋いアーリィ・モーニング・ティーで眠気を覚ます。

身支度を整え空港へと急ぐ。

ファースト・クラスのラウンジで簡単な朝食を摂り、空路でウィリアムの母国へと飛ぶ。

彼の母国・英国は未だに階級に寄って棲み分けがされている国である。

労働階級に生まれた者は、生涯労働階級であるし、貴族階級の者は生涯貴族階級である。

功績のあった者には、称号が与えられるが、一代限りの物でその子供には引き継がれる事はない。

また、貴族の称号は土地に与えられる物であり、家に与えられる物ではない。

イギリスで言う上流階級とは、貴族階級の事で、セレブと呼ばれている人々でさえ、所詮はアッパー・ミドル（中流階級の上位）に過ぎない。

交流は同じ階級同士で行われ、貴族階級と労働階級の者が、交流を深める事はない。

ウィリアムは、その中で言えば貴族階級ではあるが、爵位は高くはない。

しかし、彼にはビジネスの才能があり、年収で言えば公爵家にも匹敵すると言う。