テキストサイズ

お嬢様♡レッスン

第81章 Lesson16♥階級社会について学びましょう

彼はひょっとして自分の正体を知っているのか。

そして自分を保護すれば、彼にとって何かいい事があるのではないか。

綾芽はふとそう思った。

では何故、自分の正体を知っているのであれば、教えてくれないのだろうか。

ウィリアムの考えている事が分からない。

低い雲が立ち込める、どんよりとした英国の空を眺めながら綾芽は考え込む。

身代金でも要求するのだろうか。

自分の家はそれを支払える程、裕福なのだろうか。

ありとあらゆる可能性を考えてみる。

唯、彼は自分を救ってくれた事には間違いはないと思う。

奴隷として売られていた自分をちゃんと扱ってくれている。

しかも、婚約者として。

彼の様な上流階級の人間の婚約者という事は、相手もそれなりの階級であると判断される。

綾芽は、彼によって安全とそれなりの地位を保障されているのだ。

何かの意図があるのだとしても。

出来る限りの事を彼にしてあげたい。

綾芽はそう思った。

自分が今、しなければならない事。

記憶を取り戻す事。

そして、仮初めではあるがウィリアムの婚約者として、恥ずかしくない様な教養と知性を身に付ける事。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ