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お嬢様♡レッスン

第83章 夏の訪れ

ウィリアムは使用人達の前で宣言した通り、暇を見つけては綾芽が滞在する自分の生家へと足を運んだ。

お茶と綾芽との会話を楽しんで帰る事もあれば、そのまま泊まっていく事もある。

彼が泊まっていく時は、必ず寝室は一緒ではあるが、ここへ来た前日のあの日以来、彼が綾芽に手を出す事はなかった。

彼の綺麗な寝顔を見ながら、綾芽はそれが少し寂しいと感じた。

(寂しいだなんて…。私ったら何を考えてるの!?)

『起こしてお強請りしてくれればよかったのに…』

ふとあの日、彼が口にした言葉を思い出す。

強請ったら抱いてくれるのだろうか。

そう思うと心臓がドキドキする。

しかし、仕事で疲れているのではないかと思う気持ちもあった。

自分は彼の事を好きなのだろうか。

綾芽は自分に問う。

相変わらず、ヘンリーとの情事は続いている。

だが、そこに心はない。

それが綾芽には虚しかった。

ヘンリーに抱かれても、心に空いた穴は埋まらない。

ウィリアムに抱かれたあの時は。

不安や焦る気持ち、心に空いた穴の存在を一時、忘れられた。



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