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お嬢様♡レッスン

第83章 夏の訪れ

取り残された綾芽は、不安に胸が押し潰されそうだった。

明後日にはウィリアムは仕事で国外へ発ってしまう。

この邸に自分に敵意を剥き出しの彼の弟と取り残されるのだ。

でも、何故にそこまで言われなければならないのだろう。

ウィリアムの話だと、話し相手になってくれると言う事だったのに。

綾芽は知らなかった。

フレデリクが極度のブラザー・コンプレックスの塊であると言う事を。

そしてそれはウィリアムも知らない事だった。

両親は、フレデリクが11歳の時に亡くなった。

その頃から、彼は寮生活を送ってはいたが、肉親は唯一人。

ウィリアムだけになった。

故に、両親に甘える様に年の離れた自分に甘えているだけだと思っていた。

邸の使用人達に、我侭を言う事はあったが、あのような失礼な態度を取る等とは、ウィリアムは想定していなかったのだ。


綾芽は不安になりながらも、自分の身を整え、彼らが話終えるのを部屋で待つことにしたのだった。




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