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お嬢様♡レッスン

第83章 夏の訪れ

「フレデリク!彼女は貧相なんかじゃないよ?それに僕はグラマラスな女性が好みだなんて、一言も言った覚えはないけど?」

「でも、いつもそんな感じの女を連れて歩いていたじゃない?」

「あれは勝手に向こうが付きまとって来るだけだ」

「じゃあ、その女に本気だって言うわけ?」

フレデリクはそう言うと『ふんっ!』と鼻を鳴らした。

「僕の婚約者を『その女』呼ばわりするのは、いくら弟でも許さないよ?」

ウィリアムの言葉に、綾芽の心はグッと何かに掴まれた気がした。

ウィリアムが自分を庇ってくれている。

その事に胸がときめく。

「どこの馬の骨とも分からない者なんだから『その女』で十分でしょう!?」

そう言われてしまうと、身も蓋もない。



そうだった。

自分は何処の誰かも分からない。

彼に相応しくない身分の者かも知れない。



綾芽はフレデリクの言葉にはっとした。

「ごめんね?桜子。ちょっと部屋で待っていてくれるかな?」

ウィリアムは綾芽の頭をそっと撫でるとそう言って、フレデリクを連れて行ってしまった。



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